みんなの安全基地とは(運営方針)
当施設の運営方針につきましては、『みんなの安全基地』という事業所名に私の思いの多くを集約させていただきました。
まず、“安全基地(secure base)”という学術用語は、昨今の臨床心理学領域における重要な概念の一つとなっております。この概念は、人が不安や恐怖を憶えた際に安心安全の拠り所となる精神的な意味での安全基地、その安全基地となる“重要な他者”を指します。この重要な他者については、一般的に母親を指すことが多くあるのですが、この少しぼかしたような表現は、母親以外の者であっても安全基地として機能することが可能であることを示唆しています。つまり、当施設においては、当施設職員らによって構築される安心安全な精神環境が子どもたちにとっての安全基地として機能できるよう、そこに最大限のエネルギーを注いでいきたいと考えております。そうした支援体制によって子どもたちの安全基地機能を高められたなら、子どもたちの自己肯定感/自己効力感は自ずと高まり、そして新しい世界へも過度に恐れることなく飛び込んでいけるようになることでしょう。つまり、そうした子どもたちは、新しい知識や経験を自発的に積極的に取り入れられるようになる、と私は考えております。
あと、もう一つ。“みんなの~”という修飾表現にも私なりの重要なメッセージを込めさせていただいております。この“みんな”には、子どもたちのみならず、その子どもたちを支える大人たち、つまり保護者様や当施設職員らも含められています。その真意は、こころの安全基地を必要としているのは何も子どもたちだけではなく、支援者とされる我々大人においても絶対不可欠なものであるからです。それ故、保護者様や当施設職員にとっても、当施設全体が安全基地として機能するためにはどうすればよいか、その点を常に検討し続けていくことこそ、当施設の管理者である私の最大の使命と考えております。
支援者とされる大人たちの安全基地機能を向上させることができたなら、その恩恵は必ずや子どもたちの成長発達に寄与されることでしょう。安全基地機能といった心の土台、つまり新しい知識や経験を取り入れるための心の土台を整えた上で、それぞれの課題に応じた様々な支援を子どもたちに提供していきたいと私は考えております。
みんなの安全基地の特長について
当施設には、発達支援に関する専門職員が多数在籍しております。それ故、当施設におきましては、日々子育てに奮闘されておられる保護者様にとって、そうした日々のお役に立てるようなサービスを数多く提供することができるでしょう。では、そうした当施設の特長とは一体何であるか?以下では、当施設の特長について、“アセスメント”という言葉に焦点を絞って、少し詳しく説明していきたいと思います。
発達支援領域におけるアセスメントとは、第一に子どもたちの現状を可能な限り正確に把握する作業となります。当施設では、このアセスメント作業を臨床心理士を中心とする各種専門職員が担当していきます。この作業過程におきましては、施設内での様子観察を中心としながら、保護者様また学校関係者様などから徹底した情報収集を行い、また言語情報のみならず非言語情報からの潜在ニーズを抽出し、そしてそれでも不明瞭な点が多く残る場合においては各種発達検査/心理検査を実施するなどして、子どもたち一人一人の現状を総合的に理解していくことを目標としていきます。
上記の通り、信頼性/妥当性を持った真なるアセスメント作業を行なうためには、専門的な知識と経験、そして膨大な労力が必要となります。この作業量は、実際に何かしらの支援を提供すること以上に多大なエネルギーを必要とする場合も多くあります。しかし、実際の支援現場におきましては、子どもたちへの支援策を講じる際、こうしたアセスメント作業を省略して「どう対応するか?」のみを検討してしまっていることが多くあります。その大きな理由の一つとしては、多忙を極める現場職員において、アセスメント作業という多大な労力を費やすだけの『こころのゆとりスペース』がほとんど残されていないからです。
アセスメント作業を健全な形で行なうためには、まず『こころのゆとりスペースを』を十分に確保し、そして「なんでかなぁ?」「どうすればいいかなぁ?」と粘り強く考え続けることが重要です。逆から言えば、決して「この子はこんな子」と思考停止に陥らないこと。少し話しは逸れますが、現代社会においても「人にやさしくしましょう」といった標語が至る所で見受けられます。人にやさしくするとは具体的にどういった態度を指すのでしょうか?やや主観的な意見となりますが、それは目の前の人を理解するために「なんでかなぁ?」と常に考え続けること。つまり、アセスメント作業を粘り強く延々と繰り返していくことは、目の前の子どもたちに対する理解を深め、そして子どもたちにやさしさと安全基地を提供することに繋がると私は考えております。
医療現場には、『的確な診断なくして、的確な治療なし』という格言があります。この格言は、福祉や教育といった児童発達支援領域においてもそのまま当てはめることができ、当領域におけるアセスメント作業の重要性を的確に示したものであると言えるでしょう。やや長文になりましたが、最後までお目通しいただき、ありがとうございましたm(_ _)m
『みんなの安全基地』
一日の活動の流れ
(放課後等デイサービスの場合)
※平日(月曜日から金曜日)
❶お迎え(13:30~15:30)
学校やご自宅まで、当施設職員がお迎えにあがります。
❷『みんなの安全基地』到着
当施設内での過ごし方は、一人一人それぞれ異なります。過ごし方については、
子どもたち自身また保護者様の意向も踏まえて決定していきます。
❸みんなのタイム(16:45~)
集団活動の時間。参加可能な子どもたちは、みんなと一緒に様々な活動を行います。
❹帰宅送迎 (17:30~)
ご自宅まで、当施設職員が安全運転にて送り届けます。
※休日(土曜日or祝日or夏休み等の長期休暇中)
❶お迎え(9:30~)
ご自宅まで当施設職員がお迎えにあがります。もちろん、お家の方が直接当施設まで連れてきていただくことも可能です。
❷『みんなの安全基地』到着
平日同様、各自それぞれの課題に取り組んでもらいます。
❸昼食 (12:00~)
❹みんなのスペシャルタイム(13:00~)
休日においては、普段体験できないようなイベントを企画していきます。社会見学や社会活動体験といった屋外活動も、安全管理体制を整えた上で実施していきます。
❺帰宅送迎 (16:30~)
ご自宅まで、当施設職員が安全運転にて送り届けます。